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M-aid web版 Vol.42

平成26年度税制改正の主な改正点

平成26年度の税制改正案が平成26年3月20日成立し、平成26年4月1日施行されました。
そこで今回は主な税制の改正点をその開始時期別に一覧でまとめました。




平成26年1月20日から平成28年3月31日までの間に取得等をしたもの
生産性向上設備投資促進税制の創設


青色申告書を提出する法人が生産性の向上につながる設備への投資をした場合、その設備投資金額の全額を特別償却して経とする、設備投資金額の5%を法人税から控除する選択できる制度が創設されました。



中小企業投資促進税制の拡充


青色申告書を提出する一定の事業の中小企業が生産性の向上につながる設備への投資をした場合、その設備投資金額の全額を特別償却して経費とする、設備投資金額の7%(資本金3000万円以下の企業は10%)を法人税から控除するかを選択できるように拡充されました。




平成26年4月1日以降の取引分より
生活に通常必要でない資産の範囲の拡大


生活に通常必要でない資産を売却した時の損失については他の所得との損益通算が出来ませんでした。
この『生活に通常必要でない資産』の中に、ゴルフ会員権リゾート会員権など加えられることになり、平成26年4月1日以降の取引分より売却損が発生しても、給与所得などと損益通算できなくなります




平成26年4月1日以降の終了事業年度より
所得拡大促進税制の拡充


青色申告書を提出する法人が給与の支給額を一定の割合以上増やした場合、中小企業者についてはその増加額の10%を法人税から控除できる制度について拡充されました。基準となる年度の給与支給額から『5%以上の増加』となっていたものが平成26年度は2%以上、平成27年度は3%以上、平成28.29年度は5%以上となり、平均給与が増加していることという要件も見直しされました
以前からある雇用者の数を増加させた場合の税額控除(雇用促進税制など)と、どちらかを選択して控除できます。




平成26年4月1日以降の開始事業年度より
復興特別法人税の廃止


法人税額の10%を復興特別法人税として3年間課税されることになっていましたが、1年前倒しして終了することになりました。




交際費の損金不算入制度の見直し


接待飲食代のみ50%までを上限なく経費とできるように改正され、中小企業については現状年間800万円まで全額経費とできる交際費(飲食だけではなく贈答なども含む)と有利な方を選択できるようになり、大企業では今まで全額経費と出来なかった交際費のうち接待飲食代のみ50%までは上限なく経費とできることになりました。




平成26年10月1日以後の開始事業年度より
地方法人税を創設


地域間の税収の格差を少なくするため、法人住民税法人税割の一部を国税化して、新たに地方法人税」を創設し、税務署に申告納税します。そしてその税収全額を地方交付税財源とすることとされます。




平成27年1月1日以降
少額投資非課税制度(NISA)の改正


 平成26年1月から開始されている少額投資非課税制度(NISA)の口座について口座開設金融機関の変更や廃止、再開設について制限されていましたが、NISA口座の1年単位での変更とNISA口座を廃止した場合の再開設が認められるようになります




所得税の最高税率の引上げ(平成25年改正事項)

課税所得4,000万円を超える所得については所得税の税率が現行40%から45%に引き上げられます




相続税の基礎控除の引き下げ(平成25年改正事項)


 相続税を計算する場合に相続財産から控除できる基礎控除額が現在『5,000万円+1,000万円×法定相続人数』であったのが『3,000万円+600万円×法定相続人数』に引き下げられます。
これによって相続税の申告が必要な人数が増加し、もともと申告が必要であった人の納税額も増加することになります。




相続税の税率の引上げ(平成25年改正事項)


 課税される財産額が以下の場合、相続税の税率が以下のとおり引き上げられます。

相続税の対象資産を評価する方法のひとつである小規模宅地等の特例が拡充されます。(平成25年改正事項)


自宅の土地を金額で評価する場合、現行240㎡までの広さの土地である場合は評価額を軽減することができるのですが、その軽減される対象の土地の広さが330㎡まで拡大されます。




贈与税の税率の見直し(平成25年改正事項)


 贈与を受けた財産額が以下の場合、贈与税の税率が以下のとおり変更されます。



20歳以上の人が父母、祖父母などから贈与を受けた場合の税率を見直し(平成25年改正事項)


 贈与を受けた財産額が以下の場合、贈与税の税率が以下のとおり変更されます。



相続時精算課税制度の拡充(平成25年改正事項)


 贈与した時には贈与税を課さない代わりに実際の相続が発生した時にはその贈与分も相続財産に含めて相続税の対象とする制度で、その贈与する人の年齢が65歳以上でないとこの制度を利用できなかったのですが、この制度を利用できる贈与する人の年齢が65歳以上から60歳以上に引き下げられました。あわせて贈与財産を受け取る人の要件にが加えられました。




事業承継税制の見直し(平成25年改正事項)


上場していない株式等の相続税・贈与税の納税猶予の制度がありますが、その適用要件の緩和負担の軽減手続きの簡素化等がなされます。



平成27年4月1日以降の開始事業年度より
簡易課税制度のみなし仕入率の見直し


 年間の課税売上高が5000万円以下の事業者は消費税の申告をするにあたり簡易課税制度を選択でき、業種によって課税売上高から控除できるみなし仕入率が決められていますが、金融業及び保険業については現状60%の控除ができたものが50%の控除に変更され、不動産業については現状50%の控除ができたものが40%の控除に変更されます。


平成27年10月1日以降
消費税の税率が8%から10%へ引き上げられます。(平成25年改正事項)




平成28年1月1日以降
給与所得控除の上限の引き下げ


 給与所得控除の上限額が適用される給与収入1,500万円(控除額245万円)を、平成28年より1,200万円(控除額230万円)に引下げられます。




金融所得課税の一体化の拡充(平成25年改正事項)


 国債、外国国債、地方債、社債などの公社債のうち一定のものについて発生した利子や売却損益について、証券会社の特定口座に含めて処理することが可能になり、その他の金融商品等との損益通算が可能になります。




平成29年1月1日以降
給与所得控除の上限の引き下げ


 給与所得控除の上限額が、平成29年より1,000万円(控除額220万円)に引下げられます。




以上、平成26年の税制改正に関する主なものと平成25年改正のうちこれから実施されるものをあわせて簡単に列挙しました。


詳しい内容や、適用要件などにつきましては税理士にご相談の上、活用してください。



(このコンテンツは、平成26年7月10日現在の法令・通達等により作成しています。)