M-aid web版 Vol.35
教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について
平成25年度税制改正により、相続税や贈与税の最高税率が平成27年から55%になるなど増税される予定ですが、一方で、教育資金の一括贈与については非課税枠が設けられました。
教育資金の一括贈与に係る贈与非課税制度の概要
受贈者(贈与を受ける人) |
30歳未満の方 |
贈与者(贈与する人) | 受贈者の直系尊属(父母や祖父母等) |
贈与の目的 | 受贈者の教育資金 |
金銭の拠出方法 | 金融機関等への信託等 |
拠出限度額 |
受贈者1人につき1,500万円まで (ただし学校等以外の者に支払われる金銭については500万円が限度) |
拠出できる期間 | 平成25年4月1日~平成27年12月31日まで |
拠出金の残額 | 受贈者が30歳に達した日贈与があったものとして課税 |
この非課税措置をうけるためには、教育資金非課税申告書を金融機関を経由し、受贈者の納税地の所轄税務署に提出しなければなりません。
又、受贈者は、払い出した金銭を教育資金の支払に充当したことを証する書類(領収書等)を金融機関に提出しなければなりません。
なお、受贈者が30歳に達した日に信託等に残額がある場合は、その残額に対して贈与があったものとして贈与税が課せられますので注意しましょう。だだし、受贈者が30歳に達する前に死亡した場合、信託等に残額があっても贈与税は非課税になります。
教育資金とは
(1)学校等に対して直接支払われる次のような金銭
① 入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入学(園)試験の検定料など
② 学用品費、修学旅行費、学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など
<「学校等」とは>
・学校教育法上の幼稚園、小・中学校、高等学校、大学(院)、専修学校、各種学校
・外国の教育施設
〔外国にあるもの〕その国の学校教育制度に位置づけられている学校、日本人学校、私立在外教育施設
〔国内にあるもの〕インターナショナルスクール(国際的な認証機関に認証されもの)、外国人学校(文部科学大臣が高校相当として指定したもの)、外国大学の日本校、国際連合大学
・ 認定こども園又は保育所 など
(2)学校等以外に対して直接支払われる次のような金銭で社会通念上相当と認められるもの
<イ 役務提供又は指導を行う者(学習塾や水泳教室など)に直接支払われるもの>
③ 教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など
④ スポーツ(水泳、野球など)又は文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教
養の向上のための活動に係る指導への対価など
⑤ ③の役務提供又は④の指導で使用する物品の購入に要する金銭
<ロ イ以外(物品の販売店など)に支払われるもの>
⑥ ②に充てるための金銭であって、学校等が必要と認めたもの
教育資金の一括贈与については、これまで贈与税の対象となっていましたが、そもそも父母や祖父母が通常必要と認められる教育資金に応じてその都度負担する場合には、贈与税は課税されません。※ 国税庁HP参照
ですから、相続税がかかりそうなケース以外では特にメリットがあるわけではありません。相続税がかかる人であれば、この非課税措置の適用範囲で一括贈与しておけば贈与者が死亡しても相続税対象の資産とはならないので、メリットがあるでしょう。
しかし、運用可能な資金が長期拘束される(贈与した資金を贈与者に戻すことはできません。)、教育資金口座の管理や、教育資金に係る領収書等を金融機関等へ提出する等手間が係ること、教育資金以外への転用はできない(教育資金以外の払出も可能ですが、その払出は、一括贈与を受けた資金の残額とみなされ、30歳到達時に贈与税の課税対象となります。)等のデメリットもあります。
又、信託する金融機関等への手数料も発生しますので、確認の必要があります。
相続対策については、この制度以外にも相続時精算課税制度、配偶者贈与等もありますので、担当者にご相談ください。
(このコンテンツは、平成25年4月1日現在の法令・通達等により作成しています。)