M-aid web版 Vol.48
マイナンバーの事業者としての対応について
いよいよ今年10月からマイナンバー(個人は12桁の数字)が通知されます。ここでは事業者としてマイナンバーに対応が必要なポイントを紹介していきます。
まず10月から住民票のある人全てに対して、市役所から通知カード(紙製)が世帯ごとに簡易書留で送付されます。ここで希望する人は市役所に申請することで、平成28年1月以降に通知カード及び住基カードと引き換えに個人番号カード(プラスチック製)が無料で発行されることになります。
個人番号カードにはマイナンバーの他に顔写真、住所、氏名、性別、生年月日が記載され、本人確認書類として使用できる他、自治体によっては図書館利用証、印鑑登録カードとしても利用でき、ICチップには電子署名も格納されるのでE-TAXやコンビニでの住民票発行などに利用できます。
マイナンバーの取得について
会社としては平成28年1月以降に支払われる給与、報酬に対して源泉徴収票や給与支払報告書、支払調書を作成するときには従業員や税理士、司法書士等のマイナンバーを記載して、税務署や各市役所に提出しなければならないこととなっていますので、従業員などから各個人のマイナンバーを知らせてもらわなければなりません。
この場合の従業員は正社員、パート、アルバイト、健康保険や雇用保険加入の有無とは関係なく給料の支払われるすべての従業員が対象です。
マイナンバーは現状、税と社会保障、災害対策のためだけに利用できることとされているため、マイナンバーを従業員等から提供してもらう時には あらかじめ利用目的 「源泉徴収票作成事務」「健康保険・厚生年金保険届出事務」「労働保険届出事務」等を 特定して通知又は公表することが必要です。
具体的には・・・
今年の年末調整の時には従業員に毎年提出してもらっている扶養控除等申告書にマイナンバーを記載してもらうこととなります。
ここで気をつけなければならないポイントは、マイナンバーを提供してもらうにはその番号が間違いないかどうかと本人の身元確認を会社が確認しなければならないため、通知カードと運転免許証等の身分証を提示してもらわなければなりません。
平成28年以降に社員を採用した時には同じようにマイナンバーの確認と身分証を提示してもらう必要があります。さらに従業員に扶養者がいる場合は扶養者のマイナンバーも記載してもらう必要があります。この時のマイナンバーの確認と身元確認は会社ではなく従業員本人がしなければならないこととなっているので従業員の扶養者分のマイナンバー通知カードや身分証は会社では必要ありません。
この他、平成28年以降のハローワークでの手続き書類や平成29年以降の年金事務所での手続き書類にはマイナンバーの記載が求められますので事前に全従業員のマイナンバーを確認しておく必要があります。
マイナンバーの利用について
社員番号、顧客番号として利用することはたとえ本人の承諾があってもできません。
税と社会保障、災害対策のためだけに利用することとされているため、それ以外の目的で書き写したり、コピーをとったりしてはいけません。
マイナンバーを申告書・申請書に記入しなかったり記入間違いした場合、それだけを理由に受付られないということはありません。
マイナンバーの保管について
マイナンバーは必要な場合にのみ保管することができ、必要がなくなったら廃棄しなければなりません。従業員が退職し税や社会保険の手続きで必要なくなった場合には廃棄しなければなりませんが、法令上保管義務がある書類の場合にはその期間は保管することができます。
マイナンバーは今までの個人情報よりも厳格な管理が求められています。マイナンバーの取扱担当者を決め、それ以外の従業員等の目につかないようにしなければなりません。
例えば・・・
年末調整時の扶養控除等申告書を各従業員にマイナンバーを含めて記載してもらったものを事務担当者の机の上に放置して、だれでも見ることができるような状態ではいけません。鍵付きの引出しや棚に担当者が保管し、パソコンに入力管理するのであれば、パスワード設定、画面が他の人から見えないような机の配置や間仕切の設置など、マイナンバーの取扱担当者以外は見ることができないような管理体制の見直しが必要です。必要なくなった場合の廃棄のしかたもシュレッダーで見られないような状態にするなどの対策が必要です。ただマイナンバーの対策のために電子化やシステムを導入しなければならないわけではありません。会社の状態に応じ、マイナンバーの利用に関係のない人に見られないようになっていれば良いとなっています。
またマイナンバーを含む個人情報の漏洩があった場合には罰則が規程され、その漏洩が故意なものであれば罰せられます。
法人・個人事業主等
マイナンバーでは個人だけではなく法人についても13桁の番号が割り当てられ、インターネットで「商号」「所在地」「法人番号」が公開されることになっています。この法人番号は利用目的に制限がなく、法人1社に対して一つの番号が割り当てられ、税務申告や社会保険手続き書類への記載が求められています。
個人と違い顧客番号等として利用することもできます。
不動産賃貸を行う個人事業主や不動産の斡旋をしている個人事業主、また講演収入、デザイン収入がある個人などは収入の支払先からマイナンバーの提供を求められるようになります。
また、銀行や証券会社に特定口座を開設している場合や配当金収入のある個人、保険の満期金、解約返戻金を受け取る個人、FX会社や商品先物取引業者との取引のある個人も支払先からマイナンバーの提供を求められます。
これらは支払先が税務署に支払調書を作成して、提出する必要があるためです。
マイナンバーは、個人情報に直接結びつくものであり企業が情報管理体制を整備するだけでなく、私たち1人1人が情報管理意識を高く持つことが重要です。今回は簡単にご紹介させていただきましたが、まだ制度の全てが確定しているわけではないので今後の動向にも注目です。
さらに詳しく知りたい方は、内閣官房などのホームページをご覧下さい。
(このコンテンツは、平成27年7月1日現在の法令・通達等により作成しています。)