M-aid web版 Vol.47
平成27年以降の税制改正について
毎年、税制改正によりさまざまな税目について見直しや新規の税制などが出来ています。平成27年より適用開始されるものに関してはニュースなどでも大きく取り上げられ注目されているものもありますので、既にご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
今回、所得税・消費税・資産税(相続税・贈与税)・法人税において大きな改正事項についてピックアップしました。
以下、一覧にまとめております。
所得税
所得税の最高税率の見直し・・・時期:平成27年分以降
所得税の最高税率の見直し、課税所得4,000万円超について45%の税率を設けます。
改正前(平成26年分まで) | 改正後(平成27年分から) | ||
適用課税所得 | 税率 | 適用課税所得 | 税率 |
195万円以下の金額 |
5% | 195万円以下の金額 | 5% |
330万円以下の金額 | 10% | 330万円以下の金額 | 10% |
695万円以下の金額 | 20% | 695万円以下の金額 | 20% |
900万円以下の金額 | 23% | 900万円以下の金額 | 23% |
1,800万円以下の金額 | 33% | 1,800万円以下の金額 | 33% |
1,800万円超の金額 | 40% | 4,000万円以下の金額 | 40% |
― | ― | 4,000万円超の金額 | 45% |
給与所得控除の見直し・・・時期:平成28、29年分より適用
給与所得控除の上限額について、給与収入金額1,500万円で給与所得控除額245万円を、次のようにそれぞれ引き下げます。
① 平成28年分は、給与収入金額1,200万円で給与所得控除額230万円
② 平成29年分は、給与収入金額1,000万円で給与所得控除額220万円
消費税
簡易課税制度のみなし仕入率の見直し
・・・時期:平成27年4月1日以降に開始する事業年度から適用
みなし仕入率のうち金融業および保険業について第4種事業(みなし仕入率60%)から第5種事業(同50%)とし、不動産事業について第5種事業から第6種事業(同40%)とする見直しが行われます。
事業の種類 | みなし仕入れ率 | ||
改正前 | 改正後 | ||
卸売業 | 90% (第1種) |
90% (第1種) |
|
小売業 | 80% (第2種) |
80% (第2種) |
|
製造業 | 70% (第3種) |
70% (第3種) |
|
その他の事業 | 飲食店その他の事業 | 60% (第4種) |
60% (第4種) |
金融業及び保険業 | 50% (第5種) |
||
サービス業等 | 運輸業、サービス業 (飲食業を除く) |
50% (第5種) |
50% (第5種) |
不動産業 | 40% (第6種) |
資産税
相続税の基礎控除の引き下げ
・・・時期:平成27年1月1日以降の相続税から適用
相続税の基礎控除を次の通り引下げます。
改正前 | 改正後 | |
定額控除 | 5,000万円 | 3,000万円 |
法定相続人比例控除 | 1,000万円 × 法定相続人の数 |
600万円 × 法定相続人の数 |
相続税率の見直し
・・・時期:平成27年1月1日以降に相続・遺贈・贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する
相続税の最高税率引き上げなど税率構造が変わります。
各法定相続人の取得価格 | 改正前税率 | 改正後税率 |
1,000万円以下の金額 | 10% | 10% |
1,000万円超~3,000万円以下 | 15% |
15% |
3,000万円超~5,000万円以下 | 20% |
20% |
5,000万円超~1億円以下 | 30% | 30% |
1億円超~2億円以下 | 40% | 40% |
2億円超~3億円以下 | 45% | |
3億円超~6億円以下 | 50% | 50% |
6億円超~ | 55% |
贈与税率の見直し
・・・時期:平成27年1月1日以降に相続・遺贈・贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する
贈与税の最高税率の引上げや孫等が直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税率の税率構造が変わります。
基礎控除後の課税価格 | 改正前 税率 | 改正後 一般税率 | 改正後 特例税率※ |
200万円以下 | 10% | 10% | 10% |
200万円超~300万円以下 | 15% | 15% | 15% |
300万円超~400万円以下 | 20% | 20% | |
400万円超~600万円以下 | 30% | 30% | 20% |
600万円超~1,000万円以下 | 40% | 40% | 30% |
1,000万円超~1,500万円以下 | 50% | 45% | 40% |
1,500万円超~3,000万円以下 | 50% | 45% | |
3,000万円超~4,500万円以下 | 55% | 50% | |
4,500万円超~ | 55% |
※特定税率・・・直系尊属(祖父母、父母)から一定の年齢の者(贈与を受けた年の1月1日で現在20歳以上の直系卑属)への贈与のこと
相続税の未成年者控除
・・・時期:平成27年1月1日以降の相続税から適用
相続人が未成年者の場合の控除が引上げられます。
改正前 | 改正後 |
20歳までの1年につき6万円 | 20歳までの1年につき10万円 |
相続税の障がい者控除
・・・時期:平成27年1月1日以降の相続税から適用
相続人が障がい者の場合の控除が引上げられます。
改正前 | 改正後 |
20歳までの1年につき6万円 (特別障がい者は12万円) |
20歳までの1年につき10万円 (特別障がい者は20万円) |
相続税の小規模宅地等についての課税価格の計算の特例の見直し
・・・時期:平成27年1月1日以降に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用する
① 特定居住用宅地等に係る適用対象面積の拡充
特定事業用宅地等(被相続人等の居住の用に供されていた宅地等)に適用対象面積の上限を330㎡(改正前240㎡)に拡充する。
② 限度面積要件の緩和
限度面積要件については、特定事業用宅地等及び特定居住用宅地等のみを特例対象として選択する場合については、限度面積の調整を行わないこととし、それぞれの限度面積(特定事業用宅地等400㎡、特定居住用宅地等330㎡の合計730㎡)まで適用を可能とする。但し、貸し付け事業用宅地等を選択する場合については、従来通りの調整を行います。
相続時精算課税制度の適用対象者の範囲の拡大等の見直し
・・・時期:平成27年1月1日以降に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用する
適用対象者の範囲拡大等相続時精算課税制度の適用要件が変わります。
改正前 | 改正後 | |
贈与者 | 贈与した年の1月1日において65歳以上の者 | 贈与した年の1月1日において60歳以上の者 |
受贈者 | 贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者 贈与を受けたときに贈与者の推定相続人 |
贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者 贈与を受けたときに贈与者の推定相続人及び孫 |
法人税
法人税率の引下げ
法人税率を、25.5%から23.9%に引下げ、平成27年4月1日以降に開始する事業年度について適用されます。大法人向けの法人事業税所得割については、外形標準課税の拡大に合わせて、標準税率が引下げられます。国・地方の法人実効税率は標準税率ベースで、36.62%から平成27年度は、32.11%、28年度は31.33%に引下げられます。
中小法人等の軽減税率の特例(所得金額のうち年800万円以下の部分税率19%⇒15%)の適用期限は、2年延長されます。
区分・適用関係 | 改正前 | 27年度 | 28年度 | ||
普通法人・ 人格のない 社団法人等 |
中小法人・ 人格のない 社団法人等 |
年800万円以下の部分 | 18% | 15% | 15% |
年800万円超の部分 | 30% | 25.5% | 23.9% | ||
中小企業以外の法人 | 30% | 25.5% | 23.9% | ||
(参考)大法人向け法人事業税所得割 (地方法人特別税を含む、標準税率) |
7.2% | 6.0% | 4.8% | ||
(参考)国・地方の実効税率 | 34.62% | 32.11% | 31.33% |
上記内容について、詳しくお知りになりたい方は、弊社担当者・税理士・税務署などにお伺いください。
(このコンテンツは、平成27年5月1日現在の法令・通達等により作成しています。)