M-aid web版 Vol.32
国民年金の追加納付と社会保険料控除について
平成24年10月1日から国民年金保険料の『後納制度』がスタートしています。
この後納制度により支払った国民年金保険料は、支払った年の年末調整又は確定申告で社会保険料控除の対象として、その年の所得金額から控除できます。
今回はこの『後納制度』について簡単に説明していきます。
1.国民年金の受給資格
国民年金制度は現在は20歳から60歳未満の全ての国民が強制加入とされ、保険料の納付が義務付けられています。
原則として国民年金加入者が65歳に達したとき、加入期間40年間のうち保険料納付済期間と保険料免除期間の合計期間が25年以上ある場合にのみ国民年金が支給されます。
保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年にたとえ1ヶ月満たなくても国民年金は支給されません。
この為、年金の受給直前になって実は納付期間が25年に満たないため年金を受け取ることが出来ない高齢者が少なくないようです。
2.国民年金保険料の追加納付可能期間が2年分から10年分に延長に
そこで救済措置として、平成24年8月に年金確保支援法により
「後納制度」が手当てされました。
この制度は従来2年前までしか遡ることができなかった国民年金保険料の追加納付可能期間を平成24年10月1日から3年間に限り、10年前まで遡って追加納付できるというものです。
後納の手続きとしては、日本年金機構に後納の申込みを行い、承認された月から過去10年分を納付します。
これにより、納付期間の不足や未加入期間を穴埋めできることができる可能性が高くなりました。
また、納付期間が25年以上ある方であっても過去に未納期間がある方にあっては、納付期間を40年間の満期へ近づけることにより受け取れる年金を増額できる可能性があります。
3.後納制度の適用対象者
この後納制度を利用できるのは基本的に
1、 20歳以上60歳未満で、過去10年以内に納め忘れた期間や国民年金が任意加入であった期間に加入していなかった期間がある者
2、 60歳以上65歳未満で、上記①の期間のほか任意加入中に保険料の納め忘れがある者
3、 65歳以上で上記1の期間のほか任意加入期間中に保険料の納め忘れがあり、国民年金の受給資格がない者
となっています。
この後納保険料には、納付期限から2年分以内を除き、本来の保険料額に一定の割合を上乗せした加算額が含まれます。
具体的には下記の表を参照下さい。
平成24年度の後納保険料額と加算率 | ||||
後納保険料額 | 当時の保険料額 | 加算額 | 加算率 | |
平成14年度 | 14,940円 | 13,300円 | 1,640円 | 0.123 |
平成15年度 | 14,720円 | 13,300円 | 1,420円 | 0.107 |
平成16年度 | 14,510円 | 13,300円 | 1,210円 | 0.091 |
平成17年度 | 14,560円 | 13,580円 | 980円 | 0.072 |
平成18年度 | 14,610円 | 13,860円 | 750円 | 0.054 |
平成19年度 | 14,640円 | 14,100円 | 540円 | 0.038 |
平成20年度 | 14,760円 | 14,410円 | 350円 | 0.024 |
平成21年度 | 14,840円 | 14,660円 | 180円 | 0.012 |
※金額は月単位。平成24年度の支払いにおいては、平成22年度および平成23年度は加算額なし。
後納保険料額は政令で定められており、毎年改定される。加算額に10円未満の端数がある場合は、5円未満は切捨て、5円以上は10円とする。
4.社会保険料控除の手続き
今回の制度は、サラリーマンが就職前に納めていなかった保険料を納めるといったように本人が納める場合だけではなく、専業主婦である妻の保険料を夫が納めるなど同一生計親族が納めることもできるようになっています。
もちろん、その自己又は同一生計親族の負担すべき保険料を支払った場合には、支払った年の年末調整又確定申告で社会保険料控除の対象として、その年の所得金額から控除できます。
通常、平成17年以降において、支払った国民年金保険料をその年の所得金額から控除する為には、保険料の金額を証明する書類「社会保険料控除証明書」を保険料控除申告書もしくは確定申告書に添付する必要があります。
しかし、平成24年10月から12月中に後納保険料を支払った場合には「社会保険料控除証明書」に反映されてこないため、領収書を添付する必要があります。
(このコンテンツは、平成24年12月1日現在の法令・通達等により作成しています。)