M-aid web版 Vol.23
教育訓練費の税額控除
人材投資に目を向けている中小企業経営者の方は多くいらっしゃると思いますので、今回は人材投資促進税制の教育訓練費の税額控除について概要を書きたいと思います。
この税額控除は、業種による利用制限は一切無く、青色申告をしていて、一つの事業年度のうち教育訓練費としてある一定割合(以下「教育訓練費割合)の支出等をして損金算入した中小企業者等(注1)は、その年度の税額から一定割合の税額を控除できるというものです。
ここで言う教育訓練費とは、使用人(注2)の職務に必要な技術や知識を取得させ又は向上させるために支出する費用(注3)で、必ず教育訓練等(教育、訓練、研修、講習等)が伴うものとされています(教育訓練費の例は中小企業庁のHPに掲載されています)。
教育訓練費割合は、次の計算式
となり、この割合が0.15%以上になりますと、この税額控除の適用が可能となります。
例えば使用人10人の会社で、使用人に対して支給する給与等が4,000万円、会社負担の法定福利費の使用人に係る分が640万円とすると、事業主が教育訓練費を約7万円支出して損金算入しますと、0.1506・・・となり、0.15%以上となるため、この税額控除が適用できることになります(この税額控除に伴い地方税である法人住民税も減税となります)。
控除できる税額は、教育訓練費割合により以下の2段階に分かれています。
ⅰ)0.15%以上0.25%未満 教育訓練費×{(教育訓練費割合-0.15%)×40+8%}
ⅱ)0.25%以上 教育訓練費×12%
上記ⅰ)ⅱ)の計算による税額控除の限度額は、その事業年度の税額の20%までです。
この税額控除の適用をうける要件のひとつとして、教育訓練等の実施年月日・内容・参加者名・支払先の名称と住所等を記載した書類を、確定申告書に添付しなければなりません。
この適用を受けようとされる際、適用の可否等詳細については、専門家にご相談ください(この税額控除は平成24年3月31日までの間に開始する事業年度において適用できます)。
(このコンテンツは、平成24年1月1日現在の法令・通達等により作成しています。)
注1)①資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人(同一の大規模法人に発行済み株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上を所有されている法人等は
対象となりません) ②個人事業者(常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人に限る)
③資本等を有しない法人(社団法人など。常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人に限る)④農業共同組合等
注2)役員と特殊の関係にある使用人及び使用人兼務役員は除く。
注3)教育訓練費に充てるために他の者から支払いを受ける金額がある場合は、その金額は控除します。
また資産計上されるもの(損金算入されたものは除く)は対象外です。
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