Everybody Genius【経営者はみんな天才!】

半田まゆみ 様
学校法人 阪神専修学園・ヘアラルト阪神理容美容専門学校 理事長
事業内容:理容師・美容師の養成
http://www.hair.ac.jp/

学校法人 阪神専修学園の半田まゆみ理事長にお話お伺いました。兵庫県尼崎市でヘアラルト阪神理容美容専門学校を経営されています。また、著書を出版されたり数多くの講演をされたりと活動の幅は広く、文化人としても数々の実績をお持ちの方です。
経営者・文化人としての考え方を、女性らしい繊細な目線で語っていただいています。



森川理事長に就任されて11年経ちましたが、理美容業界、専門学校の教育はどのように変化されてきましたか。


半田理事長:阪神淡路大震災で前理事長である父を急に亡くしましたので、私が理事長になりました。ですから初めの頃は私自身もこういうビジネスをやっていくという立場に何がなんだか分らないままがむしゃらに進んでいきました。特に前半の5年間くらいはまだまだ震災の復興で町全体がバタバタしていましたし。
私が父から引き継いだ時のこの業界は、今の美容師業と少し違い、美容師はすごく苦労しているというイメージがありましたが、美容師業はもっともっとクリエイティブな仕事であるし、もっともっとアーティスト的な要素のある仕事なのです。そんな業界に反発を抱えている世代でもありますし、カリスマ美容師が話題となった世代でもあり、美容師のイメージが変わりましたね。もともと学校教育も国家試験に合格するような理容師・美容師を育成する教育システムでしたが、せっかく私が経営するのだからもっと個性を出していこうと思いました。そんな学校づくりからのスタートでした。


森川:美容業界の革命にベクトルを置き換えたというイメージですか。

半田理事長:ご存じのように、学校の名前も「ヘアラルト」に変更しました。この言葉にはいろいろな思いを込めてあります。基本的には、HAIRとARTの融合を目指す、ということです。
でも“ART”の意味を、“芸術”に限定したくないのです。
自分らしく生きること、自分らしさを表現するということは、気持ちいいと実感することそのものが“ART”であり、クリエイティブだと思います。自分らしさに気づいてほしい。好きなことを見つけてほしい。それを“HAIR”という舞台で学んでほしいと考えています。クリエイティブな生き方・考え方の基本を身に付けることができる学校でありたい。という思いを込めています。


森川:プラスαを発揮するためのクリエイティブな生き方・考え方を身に付けるというのは具体的にどういったものですか?


半田理事長:本校の特徴のひとつに「発想論」という授業があります。デザインを発想するというだけでなく、私の著書を教科書として考え方を学んでいます。人生歩んでいたら失敗することもあるし、嫌なこともあります。そんな時に後ろ向きに考える学生ではなく、そこで前向きになれる、いつでもポジティブな生き方ができるように、私自身の経験を伝えたり、事例を出したりしています。また、学生が一人ずつ前に出て発表をしたり、3分間スピーチをしたり。入学してから人前で話すことが苦手だったけれど、できるようになったとか、自分の意見をきちんと言えるようになったと学生はよく言っています。
そのほかに、私の顔のまわりに自由なヘアスタイルを描くというバーチャルヘアアートというプロジェクトもしています。制作をしている中で美的感性であるとか、デザイン力を養おうという目的です。校外授業では、ミュージカルや美術展を見学したりしています。日本との文化の違いを感じるように、海外研修も取り入れています。クリエイティブをキーワードとして、自分自身のクリエイティブな生き方、考え方を2年間で培ってほしいと考えています。卒業後の人生でも絶対に役に立つことですから。

森川:発想論は全ての源ですね。自分自身を表現すること。理事長のスーパーベリーショートのヘアスタイルのコンセプトも教えていただいてよろしいですか。


半田理事長:ずっとヘアの研究をしていましたが、私はそれぞれの民族の伝統的なヘアには意義があると思って、図書館に通ったりして調べていたのです。その中でも興味を持ったのがネイティブアメリカンでした。最初調べている時、生活や風習など資料があるにもかかわらず、髪の毛についての文献がなかったんです。自分が仕事にしていることなのにその資料がないのがすごく悔しくて。ないのであれば私が調べようと思ったのです。ちょうどその時、ネイティブアメリカンのデニス・バンクス氏が来日していることを知り、インタビューを申し出てお会いさせていただき、そこから交流が始まりました。デニス・バンクス氏自身も髪が長かったのですが、彼らにとって髪はものすごく聖なるもので、家族や親族以外は普通に触ってはいけないんです。
後々、私には触ってもいいという許可をいただいたんですけどね。日本でも髪は女の命といわれた時代もありましたので、私の命を捧げるという意味で、1991年にカナダのバンクーバーアイランドでデニス・バンクス氏が主催するイベントのオープニングで頭髪を全部剃りました。その後はまた髪を伸ばそうと思っていたのですが、そのことがアメリカで記事になり、半田まゆみに剃って欲しいという人が現れたので、1ヶ月半くらいかけてアメリカを横断して日本に帰ってきたのです。
そして、それがまたマスコミに載り、結果的にはトレードマークなりました。単なる流行やかっこいいからというだけではなく、髪の毛というのは意思を表現するメディアとしての機能もありますし、それを実践したヘアスタイルでもあるので、一番気に入っています。


森川:髪の毛って不思議ですね。
ある人に聞いた話では、男性の場合が多いと思いますが、クリエイティブなことをする時は髪の毛を伸ばすんだと。男性はアンテナを伸ばす時に髪の毛を伸ばすと。そう考えると、女性の方がアンテナが高いと思います。


半田理事長:実際髪の毛は生命力のシンボルですから長い方がスピリチュアルになりますよ。短くするとまた生えようというエネルギーみたいなものがあるんです。だから、活性化するのは短くしている時の方があると思います。私自身短い方が好きなのですが、カットするたびに新しい血が生まれるという感覚みたいなものがありますね。


森川:物事がうまくいっている人の定義は何ですか。とよく聞かれるのですが、答えは、自分が何者なのか知っている人。それしかないと思います。理事長はそれを今学校で教えているんですね。


半田理事長:私の著書「私らしくしあわせになる方法」にも、自分のポジションが何か早くわかった方がラッキーということを書いていますが、私もそう思います。
人生を舞台に例えるなら、メインの女優さん、男優さんだけでなく、裏方の方やシナリオを書いている人もいます。自分がどんなときにどのポジションをするのがいいのかを早くつかむことが大切です。