M-aid web版 Vol.13
平成22年分確定申告
もうすぐ平成22年分の確定申告がはじまります。
(平成23年2月16日(水)~平成23年3月15日(火)が申告期間です。)
還付申告は1月から申告書を提出することができます。
そこで注意すべき点があります!
平成22年分の税制改正では、所得控除等の改正が行われました。しかし、これらの改正は適用が開始される年分が異なっており、改正の内容とともに、いつから改正後の制度が適用されるのかに注意しなければなりません。
そこで今回は所得税改正の内容と適用年度をまとめましたので、ご確認ください。
〔1〕平成22年12月31日をもって廃止されました。
(1)平成13年9月30日以前に取得した上場株式等の取得費の特例の廃止
平成13年9月30日以前から引き続き所有していた上場株式等を平成15年1月1日から平成22年12月
31日までに譲渡した場合における取得費を、平成13年10月1日の株価の80%相当額とすることができる
特例が期限の到来をもって廃止されました。
〔2〕平成22年分以降の所得税から適用されます。
(1)寄付金控除制度の改正
寄付金控除の足切り額が5,000円から2,000円に引き下げられました。
また、この改正に伴い、政治活動に関する寄付をした場合の寄付金控除の特例または所得税額の特別
控除の足切り額が5,000円から2,000円に引き下げられました。
〔3〕平成23年12月31日まで延長されました。
(1)特定の居住用財産の買換えの特例の改正
特定の居住用財産の買換えの特例の適用対象となる譲渡資産について、譲渡対価の額が2億円以下で
あるという要件が追加され、適用期限が平成23年12月31日まで2年延長されました。
(2)居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の適用期限延長
適用期限が平成23年12月31日まで2年延長されました。
(3)特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の適用期限延長
適用期限が平成23年12月31日まで2年延長されました。
〔4〕平成23年分以降の所得税から適用されます。
(1)年少扶養親族に対する扶養控除の廃止
扶養親族のうち年齢16歳未満の者(年少扶養親族)に対する扶養控除が廃止されました。
(2)特定扶養親族の控除額の上乗せ廃止
16歳から18歳までの扶養親族に対する扶養控除の上乗せ部分(25万円)が廃止され、扶養控除額は
38万円(改正前は63万円)とされました。
なお、19歳以上23歳未満の特定扶養親族については、従来どおり63万円となります。
(3)同居特別障害者に対する控除額の変更
同居特別障害者がいる場合の扶養控除額・配偶者控除額に35万円を加算する規定が、年少扶養親族に
対する扶養控除の廃止に伴い、障害者控除額に35万円を加算する制度に改められました。
〔5〕平成24年3月31日まで延長されました。
(1)中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例の延長
青色申告書を提出する中小企業者である個人が、不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべき業務
の用に供した取得価額30万円未満の少額減価償却資産については、その取得価額相当額を業務供用
年分の必要経費に算入することが認められていますが、この制度の適用期限が、平成24年3月31日まで
2年延長されました。
〔6〕平成24年分以降の所得税から適用されます。
(1)生命保険料控除の改正
生命保険料控除が改正され、控除限度額が10万円から12万円に引き上げられました。
①平成24年1月1日以後に締結した保険契約等(新契約)のうち介護(費用)保障または、医療(費用)保障を
内容とする主契約または特約に係る保険料等について、現行の一般生命保険料控除と別枠で、最高4万円
の介護医療保険料控除が創設されます。
②一般の生命保険料控除および個人年金保険料控除の適用限度額がそれぞれ現行の5万円から4万円に
引き下げられます。
しかしながら、①の創設により生命保険料控除の合計は最高で12万円に引き上げられることになります。
③一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除の控除額の計算はそれぞれ以下のよう
に行います。
年間の支払保険料等 | 控除額 |
20,000円以下 | 支払保険料等の金額 |
20,000円超40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000円 |
40,000円超80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
④新契約については、主契約または特約の保障内容に応じ、その保険契約等に係る支払保険料等を
各保険料控除に適用することになります。
⑤新しい生命保険料控除制度は、平成24年1月1日以後に締結した生命保険契約等について適用され、
同日前に締結した生命保険契約等については、従前の制度が適用されます。
この場合、新制度と従前の制度の双方の控除の適用があるときにおける合計適用限度額は12万円と
されます。
(2)非課税口座内の少額上場株式等の非課税措置の創設
①配当所得の非課税
居住者等が金融商品取引業者等の営業所に非課税口座を開設した日から同日の属する年の1月1日以後
10年を経過する日までに支払いを受けるべき非課税口座内上場株式等の配当等については、所得税が
課税されません。
②譲渡所得等の非課税
居住者等が非課税口座を開設した日から同日の属する年の1月1日以後10年を経過する日までに、その
非課税口座に係る非課税口座内上場株式等について非課税上場株式等管理契約に基づく譲渡をした
場合には、その譲渡による譲渡所得等については所得税が課税されません。
なお、非課税口座内上場株式等の譲渡損失についてはないものとみなされます。
平成22年分の所得税については、上記の改正を見る限り、大きく影響を受ける改正はなかったように
思います。しかし、所得税は、自分の所得の状況を最もよく知っている納税者が自ら税法に従って所得と
税額を正しく計算し、納税するという「申告納税制度」を採用しているため、納税者自身、改正項目について
理解し、より早く、正しく、申告するよう心がけることが大切です。
(このコンテンツは、平成23年2月1日現在の法令・通達等により作成しています。)
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