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M-aid web版 Vol.8

FXの税金


FX取引(外国為替証拠金取引)については、この5、6年間で国内での総取引額は10倍以上となり、大手FX業者のテレビCMをよく見かけるようになりました。
FXがここまで普及した背景としてはインターネットのブロードバンドの普及、少額の資金を元に大きな金額の取引が可能である点、24時間取引が可能で仕事のあとの短時間の取引が可能なこと、コストの面でもFX業者間の価格競争によって手数料が安い、などの理由があるようです。
FXの投資については他のホームページや解説書が多数出回っていますのでそちらにお任せするとして、ここではFXにかかる税金について取り上げてみたいと思います。

FX自体がここ5、6年間で急速に普及した取引であることから、税金の徴収システムが株式などの証券取引と比較すると整備不足な点が多く、株式取引であるような特定口座での源泉徴収制度によって確定申告が不要となるといった制度ありません

FX取引によって得られた利益に対しては個人であれば所得税・住民税が、法人であれば法人税がそれぞれ課税されますので、個人では1月~12月の間の決済損益の合計がプラスであれば基本的に必ず確定申告が必要です。(含み損益は計算に入れません)
そしてFXと一言で言っても制度上二つに分類されます。


①取引所取引・・・・・・・「くりっく365」、「大証FX」の取引所レートによる売買。この取引はFX業者が窓口
               となるため、FX業者に対して手数料を支払う。
②店頭(相対)取引・・・・その他、取引所取引以外のFX取引。

取引所得区分課税方式、税率等
取引所取引先物取引に係る雑所得等申告分離課税。 所得税、住民税あわせて20%
店頭取引雑所得総合課税。他の所得と合算して計算。所得に応じて所得税、住民税あわせて15~50%





この二つの取引は制度上全く違う取り扱いがされているため、税率だけではなく損失をだした場合の他の所得(収入)との通算の取り扱いも全く異なります。







項目取引所取引の損店頭取引の損
商品先物取引、日経225などの先物取引での利益×
複数の口座を持っている場合の取引所取引での利益×
複数の口座を持っている場合の店頭取引での利益×
外貨建て利付債券の償還差益×
外貨預金等の為替差益×
事業所得でないアフィリエイト収入×
公的年金等の雑所得×
給与収入、事業収入、不動産収入、譲渡所得等その他の所得××
株式投資の利益××
外貨預金、外貨建て利付債券等の利子(別途分離課税にて支払済のため)××
外貨建て利付債券等の売却益(利益は非課税、損失はなかったものとされるため)××


その他に取引所取引の場合は確定申告しておくと、損失を3年間繰り越す事ができ、翌年以降の取引所取引による利益から相殺できます。

取引所取引と店頭取引、同じFXでありながらその取扱が全く違うためややこしい話になっていますが、それだけ自分にとって有利な方を選択できる余地があるとも言えます。




それでは例をあげてみます。

年収450万円のサラリーマンで共働き、15歳以下の子供は平成23年から扶養控除から外れるので考慮しないとすると・・・ 


   <年収>   <給与所得控除後の金額>   <社会保険料>     <基礎控除>

  4,500,000円    3,060,000円      591,390円        380,000円

課税所得は、給与所得控除後の金額(3,060,000円)から社会保険料(591,390円)と基礎控除(380,000円)を引くと、2,088,610円、千円未満切り捨てなので、2,088,000円となります。


課税総所得金額が195万円から330万円までは税率が所得税・住民税あわせて20%です。
その他の所得がないとするとFXの利益が年間20万円までは確定申告不要。
利益が20万円超1,212,000円以下であれば店頭取引であっても取引所取引であっても税率は同じ20%。
年間1,212,000円超の利益が出れば取引所取引が有利になります。

損失が出た場合は、取引所取引なら損失の繰越ができますが、店頭取引の場合は損失の翌年以降の繰越はできません。
この人の場合は、店頭取引より取引所取引の方が税金の計算上では有利になっています。

しかし取引所取引は店頭取引に比較して手数料が高めであること、取引所取引のうち「くりっく365」は1年ほど前に、このような訴訟http://www.click365-higaibengodan.com/index.htmlを起こされており現在係争中であること、取扱通貨が店頭取引に比較して多くはないことなどの不利な点もありどちらが良いとは一概には言えません。
あくまでこの例の場合は税金面で取引所取引が有利であるということなので、FX業者の選択はその他の要素を総合的に確認して決定されるのが良いかと思います。



ちなみに以前はFX業者から税務署に対してどの顧客がいくら利益を上げているかという報告書(支払調書といいます。)の報告義務がなかったため、FXでいくら利益を上げてもよほど高額でなければ税務署も把握のしようがなかったようですが、平成21年の決済取引から顧客の取引内容が税務署に報告されるようになりました。
もちろん日本国内で登録されている業者すべて同じようにです。
ですから給与収入、退職金のみの1ヶ所からの収入しかなくその他の所得の合計金額が20万円以下の場合を除いては(この場合は申告不要です)、確定申告して納税をしておかないとあとで税務署から問い合わせや税務調査ということになります。

これを読んで、では海外FX業者ならどうだろう?と思われた方もおられるかもしれませんが、よほど信頼のおけるFX業者でなければ、倒産、取引停止、出金時のトラブル、すべて自己責任となります。もちろん国内FX業者なら絶対安全かというと、そうともいえないですが。
海外FX業者を使っていても日本に居住し、日本で取引している場合にはもちろん日本の所得税がかかります。



(このコンテンツは、平成22年9月2日現在の法令・通達等により作成しています。)


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